第80章 選んだもの
今のキリとシカマルの様子に微笑ましい気持ちと、自分の息子のせいでキリに少し申し訳ないと苦笑する気持ちが交差するシカクから、微妙な笑顔を向けられる。
キリ(シカクさん、ですが私も説明を……)
シカク(今日はやるかどうかもわからねぇしな。もしあっても、後で俺が伝える)
そんな二人のやり取りに気付いたカカシは、木陰からこちらを覗いているキリのもとへと移動する。
カカシ「キリ」
キリ「カカシさん!?」
突如、背後の草陰から顔を出したカカシに、キリはびくりと肩を竦ませた。
地面にうつ伏せになって、肩から上だけを草陰から出しているカカシは、やあ。と右手を上げた。
カカシ「しーっ、俺も今は戻らない方がいいと思うよ」
今のみんなのあのテンションで、二人が揃うのは危険すぎると、そう言って苦笑するカカシに、キリは眉を下げた。
キリ「すみません……集合ギリギリになった挙句に、持ち場を放棄するなんて」
説明会を潰す結果になって本当に申し訳ないと、頭を下げるキリに、カカシは軽快に笑う。
カカシ「説明会は、俺が勝手に延期しただけだよ。それに、それを頼んだ綱手様があの状態だしね」
「あれが延期を気にしているように見える?」と、綱手に視線を向けたカカシのそれを辿る。
キリ「………」
辿ったその先には、酔っ払って顔を赤くした綱手が、辺りに絡みまくっているそれはそれは楽しそうな姿があった。
カカシ「ね。だから、こっちの事は気にしなくてだいじょーぶ。キリは戻らなくていいよ」
キリ「……すみません、お言葉に甘えさせて貰います。ありがとうございます」
カカシ「いやいや、これくらいなんともないよ。俺は二人の味方だからね」