第79章 大公開告白の裏側で
キリとシカマルの未来に思いを馳せるヒナタの周りでは、シカマルの行動に最高の盛り上がりを見せる。
いの「いいわよシカマル! いけいけー!」
サクラ「そのまま押し切っちゃいなさいよシカマル! しゃーんなろー!」
カカシ「いけいけー! 押せ押せー!」
きゃー! と腕を掲げて、もっと行けもっと押せと応援する二人の乙女に、しれっと便乗するマスク男。
おそらく、お願いだから上手く行ってくれとハラハラしながら悲壮なまでに願っていたのは、この男だけだっただろう。
頑張れと応援するサクラとヒナタは、ほぼ同時にあるものに気が付いた。
ヒナタ「あ……」
サクラ「あれ、あの腕についてるのって、もしかしてお揃いじゃない!?」
二人の腕に光る、小さな宝石のついた腕輪。
やはりこういったものは、女性の方がよく気が付くようで、そう言われて初めて男達はじっと二人の腕に目を凝らした。
アスマ「ほぉー……」
いやぁあいつがねぇ、と煙草を吹かしながら、愉快そうな姿勢を崩さないアスマ。
今の必死なシカマルの姿もそうだが。周りがこんなにも騒いでいるのに意識を向ける余裕がないほどに、一人の女に首ったけという事と、後で今の状況に気付いたシカマルの赤っ恥を思えば、笑いが込み上げて仕方がない。
キバ「あんなちっちぇもんよくわかんな」
ナルト「すげぇほんとだってばよ……」
キバ.ナルト「つーか、シカマルがお揃いって……まじかよ」
その新たな事実に、キバとナルトはもう立ち尽くすしかない。
色恋なんてまるで興味のなさそうなシカマルが、まさか自分よりも先にいただなんて、思ってもみなかった。
しかしながら、シカマルはさらにアカデミーの頃から好きだったのだと、衝撃の告白を行った。
キバ「やべえ無理だついていけねぇ」
ナルト「……俺もだってばよ」
イルカ(……俺もだよナルト)
今は独り身であるが、イルカは今日までの人生の中で、さすがに好意的に思ったことのある女性ぐらいはいる。
しかし、これまでシカマルほどに、心から女性に惚れ込んだ事のないイルカも、言葉をなくしていた。