第79章 大公開告白の裏側で
キバ「お前はなんでそんな冷静なんだよシノ」
ナルト「おいキバ、シノも本当はすげー驚いてるはずだってばよ」
表立って見えてないだけだと告げたナルトに、さらりとシノは返答する。
シノ「あまり驚いてはいない。何故なら、俺は知っていたからな」
キバ.ナルト「はぁ!?!?」
シノ「だが、こんな風に告げるとは思っていなかった」
だから、少し驚いていると淡々と告げるシノに、キバ達はさらに衝撃を受ける。
キバ「嘘だろシノ!?」
ナルト「なんで知ってんだってばよ!?」
シノ「本人から聞いてはないが、見ていればわかる。特にシカマルは、わかりやすい」
キバ.ナルト「…………」
シカマルの想いに、キリはごめんなさいと謝罪を告げて、踵を返した。
ヒナタ(キリちゃん……っ)
戸惑いと困惑の中に、シカマルのそんな気持ちを拒絶するキリの片鱗が見えて、思わずヒナタは祈るように両手を合わせた。
たくさんの優しさを人には無償で与えられるのに、優しさを貰う事が苦手で不器用なキリに、どうか幸せになって欲しい。
ヒナタ(キリちゃん……あんなに楽しそうなのに)
シカマルの隣にいるキリも、キリの隣にいるシカマルも。
自然体で、お互いを信頼しているのが見てとれて、こんなにも大切に想い合っている居心地の良さそうな二人は、ヒナタの理想の姿でもあった。
こんなにもたくさんの人がいる中で、互いを想い合えるなんて一体どれほどの奇跡なのだろうと、そう思う。
そんな奇跡を、どうか手離さないで欲しい。
ヒナタ「!!」
シカマルから離れようとしたキリの腕を、逃げずに聞いてくれと、シカマルが引き止める。
ヒナタ(シカマルくん……!!)
そんなシカマルの姿に、きゅっと胸が締めつけられる。
もうヒナタには、二人が上手くいくように願うしかなかった。