第78章 強行突破
ちらりと、キリから視線が向けられる。
なんとも言えないその視線に、シカマルの思考回路は、これ以上ないぐらいに混乱していた。
シカ「なん……」
いや、確かに予想していた通り困っている。激しく困っているには違いないのだが、困るの種類が想像していたものと違う。
なんで、と言葉を発する前に、シカマルはハッと顔を上げる。
そこには、青春だこれは青春の塊のような青春だと感涙しているマイト・ガイとロック・リーの姿。
そして、あらまあと楽しげに展開を見守るテンテン。
さらには、照れているのだろう。頬を染めて、頑張ってはいるが、いつもの仏頂面を全然保てていないネジがいた。
その付近には。
『彼女に会いたくなってきた』
『え、お前彼女いたの!?』
『若いっていいな。なんか懐かしいわ』
『え、嘘、俺あんな青春なかったんだけど』
『私もあの人に告白しようかな』
『え、お前好きな奴いたの?』
『……近々休みとって、彼女とゆっくり過ごすかな』
『え、待ってお前も? みんななんでそんな相手いんの? え? 嘘だろ?』
などと、口々に語る特別上忍、中忍達の姿も見える。
くるりと後ろを振り向けば、いつのまにか、そっとそちらへ合流していたチョウジいのサクラ達を含め、同期全員が頬を染めていた。
そして、目が合ったカカシも少し顔を赤くして、ははっやあ と気恥ずかしそうに右手を上げた。
そんなカカシの隣では、中でも一際顔を真っ赤にしているイルカと、にやにやと笑みを浮かべながら、何やら談義している自らの父シカクの姿と、紅。
そして、もはや息が出来ないレベルで爆笑して、涙を浮かべて苦しそうなアスマもいる。