第78章 強行突破
キリ「え?」
言葉通り声を大にしてそう言えば、ぽかんとしたキリの顔。
シカ「いいか? 俺がずっっっと好きなのはキリ、お前だけだ」
大切に想ってきたからこそ、一度吐き出されてしまった想いが止まらない。
シカ「言っとくけどなぁ!! 今言ってんのは、仲間として家族としての意味じゃねぇからな? 俺は男としてお前の事が好きで、すげぇ大事に想ってる」
ここまで言ってまた。後から、まさかあれは仲間としての好きだろうなんて、そんな風に言われては堪らない。
もうすれ違いや、誤解を招くのはこりごりだ。ないとは全然言えないその可能性を、先に叩き潰しておこうではないか。
シカ「俺が言ってる意味、ちゃんとわかってんのかよ」
目をぱちくりさせて、小さく口を開いたまま停止しているキリにそう言えば、言葉になっていない答えが返される。
キリ「……え? あの……」
シカ「だから、俺は男としてキリが好きで仕方ねぇって言ってんだよ!」
ダメ押しでそう言えば、ようやくその意味をキリの脳裏が理解したようで、固まっていたその表情に変化が見える。
キリ「あ、……私、その」
過去最大に狼狽えているキリは、一言残して、くるりとシカマルに背を向けた。
キリ「ご、ごめんなさい」
そう言って、足を踏み出したキリに、自分も同じように一歩、足を進める。
シカ「聞け! 逃げんなっての!」
どこかへ行こうとしたキリの左腕を掴んで、引き止める。
他の女を勧めてくるようなキリに、まだ伝えていない事がたくさんあるのだ。
シカ「アカデミーの頃から、ずっと好きだった」
キリ「!!」