第78章 強行突破
そうなれば、この間遊びに行ったそれも、含まれているのではないか。
こちらは何度、鼓動が跳ねたかわからないあの一日。それをデートだとは、まるで認識されていなかったのだろうか。
いの「そう思えるぐらい仲が良いってことよねー」
チョウ「そうそう。それより、もう集合だよ」
パッと間に入ったいのとチョウジだが、それしきのことでは、恋する乙女サクラ節は止まらない。
サクラ「いのも二人のこの雰囲気、怪しいと思わない?」
きらりと目を輝かせるサクラに、いのはキリから見えないように、肘でサクラを小突く。
いの(あんたちょっと空気読みなさいよ!!)
サクラ「? 何がーー」
キリ「誤解よ」
真っ直ぐなキリの声が、サクラ達の会話を止めた。
キリ「私たちはそんな関係じゃないわ」
いの.チョウ「!!」
シカ(っ……!)
その言葉が、深く、シカマルの胸を抉った。
いの「ほら、サクラももういいでしょー! 早く行くわよ」
チョウ「いい加減行かないと怒られちゃうよ」
これ以上はまずいと、サクラの背中を押すいのに、キリは続けて口を開いた。
キリ「私は誰とも、そんな関係になるつもりはないから。誤解でそんな風に見られると困るわ」
またしてもそう言い切るキリに、いのとチョウジはもうシカマルの顔を見ることすら、怖くて出来ない。
いの(やば……)
チョウ(うわっ……)
焦る二人と、この空気の変化にサクラにも戸惑いが見える。
サクラ「あ、そ、そうね。ごめんなさい」
キリ「彼も、私とそんな風に言われたら迷惑よ。彼にはもっと良い人がいるわ」
いの(い、いやーキリ! お願いもうやめて!)
チョウ(シ、シカマル……)
冷や汗を流して完全に固まったいのとチョウジの後ろでは、小さく俯いて地面を見つめているシカマルの姿があった。