第78章 強行突破
サクラ「キリが時間ギリギリなんて珍しいわね」
キリ「まだ時間に余裕があると思ってて……少し話し過ぎたみたい」
シカ「だな」
そう言って、お互いに顔を見合わせるキリとシカマルに、サクラはにやりと笑みを浮かべる。
サクラ「そういえば、なんで二人一緒だったわけ? もしかしてデート?」
そう言って、口もとに弧を描いたサクラに、シカマルは思わず動揺を隠せずにいた。
シカ「なっ、ちげぇっての。来る前に修業してたんだよ」
サクラ「本当? 来た時も、なんか良い雰囲気に見えたけど?」
ふふふと、からかうサクラに、シカマルはぽっと頬を赤らめる。
サクラ「ねぇ、キリーどうなのよ?」
キリ「ええ、違うわ」
シカ「!」
いの.チョウ(あ、まずい)
即答で、ピシャリとそう言い切ったキリに、シカマルの身体がピタリと停止する。
そしてそんなシカマルを見て、いのとチョウジは、この後の展開に危険を察知した。
キリ「デートなんて、するわけないでしょう。本当に少し修業をしてただけ」
サクラ「でも、それにしたって、こんな朝から二人きりなんて怪しいじゃない」
シカ「………」
【デートなんて、するわけないでしょう】
その言葉が、シカマルの頭の中で反芻される。
一体キリは、どの範囲でそれを言ったのだろうか。
それが今朝、先ほどまでの時間を指しているのであれば、まだいい。
楽しくはあったが、確かにこれはデートとは言わないだろう。
しかしながら。
今の言い方は、今朝のことだけではないのではないか。
自分がデートなどするはずが無い。そんな風に聞き取れた。