第78章 強行突破
まあそれでも、こうしてキリと二人で楽しく美味しいご飯が食べれているのだから、やはりアスマに感謝しなくてはいけないなと、そんな事を思う。
いつもより少しゆっくり、のんびりと話しながら終えた食事。
【あーいい。俺が払う】
【どうして? 私も払うわ】
会計時に、そんな会話がされるが、今日は少し譲れない。それぐらいの甲斐性は見させて欲しい。
【俺が誘ったんだろうが。そういうもんだ】
【……そういう、ものなの?】
【おう】
そうだったのかと、引き下がる外出不慣れキリに、よし。と安心するシカマル。
この後しばらく、誘った方が出すものだと認識したキリがヒナタに飯を奢るようになり。
外出不慣れなヒナタもそういうものだったのかと認識し、キリに飯を奢るというそんな誤認識を広めていたことを知るのは、随分先の話になる。
その後の修業も、良い結果を残すことが出来た。
打倒シカクをスローガンにして、シカマルとキリは修業に励む。
息の合ったコンビネーション。そして、新しい合わせ技の模索。
修業に、熱が入るキリの体を案じて、時折休息を混ぜれば。
キリはまだ大丈夫だといいながらも、大人しくそれを聞き入れて、一緒に木陰へと腰を下ろした。
その際には、さっきの動きの反省点とか、次にやる技の事とか、決して色気のある話しではないが、呼吸の合ったこの会話がとても心地良く感じた。
忍としても、有意義な1日を迎えるとこが出来て、この日の誘いは終始大成功で幕を閉じたのだ。