第17章 自覚して加速
シカ(つーことは、意識したのはもっと前……だな)
合同任務の最中に、好意を持ったわけではない。
思えば、合同任務のメンバーにキリの名前があがった時も、胸に違和感があったのを覚えている。
では、更に遡ってみてはどうか。
シカ(下忍になってからは……)
時折、担当上忍であるシカクが話すキリの話題が妙に気になった。
キリとの任務や修行があると出ていったシカクが帰宅した日。シカクが話し出すのを待ったり。話さなければ、それとなく、どんな事をしたのかとわざわざ聞き出したこともある。
シカ(それだけじゃねぇ。班行動中も考えてたな)
アスマ班での任務や修行の時も。キリだったらこんな時どんな対応をするだろうと、ふと頭によぎることがあった。
それらは下忍になった当初からだった気がする。
シカ(ならもっと前……アカデミー卒業して…)
シカマルたちがアカデミーを卒業した時。
これから下忍として活動をするにあたっての配属を決められる時だ。
生徒たちから「キリと一緒に活動はしたくない」と、次々キリへの非難の声が上がり、ひどく苛立った事を覚えている。
そして、あのヒナタがあの状況で手を上げて、自分がキリと同じ班になると言った事にひどく驚いた。
ヒナタのように公言こそしなかったが、シカマルもそう思っていた。
キリと同じ班になれはしないかと。
決して、チョウジといのの事が嫌なわけではない。ただキリが気掛かりだったのだ。
班員がたった一人きりのキリを案じもしたし、自分が一緒だったらと強く思った。
シカ(この時でもねぇか)
ならば、キリが木ノ葉隠れの里にやって来たアカデミーの頃はどうか。
シカマルはキリが鹿を攫ったと勝手に勘違いして、責め立ててしまった。
謝るために、やっとのことでキリを捕まえて、話をして。
そして、二人で授業をさぼって、今のよう空を見上げて……。
シカ(ああ……そうか)