第17章 自覚して加速
少し前にも、キリと合同任務をしたことがある。
アスマを除いた猪鹿蝶とキリの四人で、サーカスの猛獣使いの捕獲任務に出た時だ。
キリはやはり優秀で。キリの実力は、シカマルたちと比べて頭一つどころか、遠く離れたところにあって。
シカ(ただ、ワンマンっつーよりは……)
意外にもキリは、団体行動に長けていた。
もちろん、仲を深めるために愛嬌良く振る舞うなんてことはしないが。
チーム一の実力者である自分の言う事を聞け、なんて独裁的な言動はとらない。全員の能力や性格を踏まえて、適材適所に置く。
忍としては抜群のバランスだと、思わされた。
そして、あの日。
キリの忍以外の顔が垣間見えた。
任務達成後に、みんなでハイタッチをして、話しながら木ノ葉の里まで帰った。半ば強引にキリとハイタッチした時の、キリのあの何とも言えない顔を思い出して、シカマルの口角が上がる。
シカ(普段なにがあっても平然としてるあいつが狼狽えてたのはおもしろかったな)
あの時、とても控えめに合わさったシカマルよりも少し小さな手。
キリの体温を感じて、込み上げてきたむずがゆいような感情。当時は分からなかったが、今なら原因が分かる。
木ノ葉までの帰り道では、チョウジといのもキリに対してとても友好的だった。特にいのは、ハイタッチを見てイケる!と、判断したのだろう。それはもう遠慮なくキリとの距離を詰めていた。
当本人のキリはどこか居心地の悪そうな、どうしていいのかわからないような様子ではあったが。
良い意味でキリへの遠慮がとれたあの雰囲気を、何故かシカマルが嬉しく思ったのも。
全ては恋心故だったのだ。