第17章 自覚して加速
シカ「雲はいいよなぁ自由でよ」
はぁ、とひとつため息をついて、シカマルは寝そべりながら空を見上げる。
昨日自らの恋心に気付いて。そしておそらく、それはカカシにも露顕した。
またよりによって、ややこしそうな相手に気付かれたものだ。自覚すると同時に、知られる相手としては悪過ぎやしないか。
まったく面倒なことこの上ない。
カカシのこともそうだが、自分自身が一番面倒だ。一体、何がどうなってしまったのか。
同期であるいのやナルト達とは違って、色恋沙汰に興味がなかった自分がそういった感情を抱くことになるなんて。
シカマルの予定では、もう少し大人になれば、自分は美人でもブスでもない普通の女に惚れて。そしてその相手は優しく、穏やかな人であるはずだった。
そんな自分の未来設計図はどこをどう間違ったのか、同期の中では間違いなく、最も普通からかけ離れていると断言出来るキリをその相手としたのである。
優しく穏やかどころか、まずキリとは会話もままならない。
会話の前に、挨拶すら返答がなくても当たり前と言える彼女のどこに自分は惚れたのか。
シカ(なんつー女を選んでんだよ俺は……)
周囲を寄せつけようとしない、この完全鉄壁ブリザード女と、今後仲睦まじい関係になれる気が全くもってしなかった。
いつの間にか抱いていたキリへの好意。
本当に、それはいつから始まっていたのだろうか。
シカマルは現在から、初めてキリに出会った時まで記憶を遡る。