第76章 これが幸せ
合流してから、すでに4本目の団子に手を出しながら言われたそれに、シカマルは頷いて返す。
シカ「ん、これ。母ちゃんが借りてたんだと」
ヨシノは任務で返しに来れなかったから、渡しておいてくれと、預けられた荷物を手渡せば。その隣ではうーんと、甘味屋のメニューと睨めっこをしているキリの姿があった。
シカ「で、お前はどれで悩んでんだよ。俺の半分やるから、両方頼めばいいんじゃね」
キリ「本当? でも悩んでるのがみっつあって……」
どれにすべきかと、メニューを見つめているキリを笑いながら見ているシカマルに、いのはあらあらとニヤリ顔を見せる。
いの(やだ、なんかちょっと良い雰囲気じゃない)
いの「ならみっつ頼んじゃいなさいよ。チョウジがいるから残す心配はないわよー」
ちらりとチョウジに視線を向けたキリに、チョウジは大きく頷いた。
チョウ「何個でも任せて」
そう告げたチョウジの横には、既に重ねられた食事済の皿達がある。
シカ「チョウジはほどほどにしろよ」
まったくとテーブルに肘を立て、顔を乗せて笑うシカマルの腕に、見慣れない物がついている。
いの(珍しいわね、シカマルが飾り物身に付けるなんて)
紐で編み込まれたその中心に輝く石。
シカマルがこういったアクセサリーの類を身に付けるのは、 親から下忍になった時に受け継いだピアス以外、見たことはない。
それに、当本人だってまるで興味がないはずだ。
いのが、珍しい事もあるものだと、それを見つめていれば、キリは結局みっつ注文する事に決めたらしい。
キリ「すみません」
いの「!!」
そう言って、手を上げて定員を呼ぶキリの腕に、シカマルと同じものがついているのが見える。