第76章 これが幸せ
チョウ「シカマルー、キリー!」
甘味屋の前で聞こえたその声の方へと振り向けば、もぐもぐと団子を頬張っているチョウジと、その前できな粉餅をつついて手を振っている、いのの姿が目に入った。
シカ「チョウジ、ちょうど今からお前んとこ行くつもりだった」
ちょうど良かったと、二人が甘味屋へと入れば、いのはすぐにキリのもとへと歩み寄る。
いの「キリ! あんたもう大丈夫なの?」
キリ「ええ、もうすっかり」
いのは心配そうに、そして疑うような視線を向けてくるが、今は本当に身も心も健康そのものである。
いの「お父さんから聞いたけど、キリもかなり酷い怪我だったんでしょ?」
深傷を負っていた事に加えて、シカクとの事で相当精神的に参っていたと、父であるいのいちから聞いて、シカクももちろんだが、キリの事も本当に心配だった。
そんないのを見て、キリは小さく首を振る。
キリ「本当にもう大丈夫。心配かけてごめんなさい。あなたにも」
そう言って、チョウジの方へと視線を向ければ、チョウジはにっこりと笑顔を返してくれた。
チョウ「元気になったんだったら良かった」
キリ「ありがとう」
キリもチョウジに微笑んで返せば、チョウジはこくりと頷いてから、口を開いた。
チョウ「とりあえず、三人とも座ったら? 後ろ混んでるよ」
「!!!」
後ろに数人の列が出来ていた事に気付いて、シカマル達は慌てて、チョウジたちと同じ卓上に着いた。
チョウ「僕のところにって、何か用があったの?」