第76章 これが幸せ
キリ「何?」
シカ「またあいつに会いに、森に行かねぇか?」
「時間はあるか」と聞けば、キリは二つ返事で頷いた。
キリ「ええ。火影様が配慮してくれて、まだしばらく任務はいいみたい」
明日にでもどうかと言われて、今度はシカマルが即座に了承する。
シカ(っし)
以前は頷いてくれなかったお誘いだが、今回は即了承を得られた事に、シカマルの中で喜びが広がっていく。
そしていつもなら、ここまでが多いキリへのお誘いだが、今日はあともう一押し。
シカ「そ、その後一緒に飯でも行かねぇか」
シカ(っ……)
スマートに言うつもりが、緊張のあまり噛んでしまった。
それでも前を向いたまま、なんでもないような顔をして、そう平静を装ってはみるが、内心どくどくと早い鼓動がうるさくて仕方がない。
キリ「明日?」
シカ「おう」
ドキドキと胸が鳴る。キリの返答までの時間が、何故こんなにも長く感じられるのか。
キリ「ええ、行きましょう」
シカ「っしゃあ!」
キリ「!」
思わず出てしまった心の声と、ぐっと腰もとで小さくされたガッツポーズに、きょとんとしたキリの視線を感じる。
シカ「悪い。なんでもねぇ」
そんなキリの視線に、まずいと慌ててそう取り繕えば、よくわからないながらも流してくれたキリの優しさに感謝する。
キリ「その後、私の修業に付き合ってもらえる?」
喜んで。と、言いたいところだが、まだ完治していないだろうキリの肩が気に掛かる。