第16章 面会謝絶
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病院を後にしたカカシは、文句を垂れるナルトを適当にあしらって、一人帰路を歩いていた。
任務中に負傷したキリ。
面会謝絶は上忍であるカカシも例外ではなく、どうしたものかと思っていた。
平気だと言うナルトを半ば無理やり病院へ連れて行ったのは、キリの様子を見に行くためであった。
そこで思わぬ収穫があった。
カカシ(あのシカマルが、ねぇ)
シカマルとキリのやり取りを思い返して、つい口角が上がる。
カカシは木ノ葉へキリを連れて来て以来、こっそりキリの里での様子を見守っていた。
しかし、いまだに心を開くことのないキリ。今回は怪我の様子見と同時に、少し話もしたかった。
ナルトの治療と称して、しれっと院内を徘徊し、キリの病室へ向かっていた時だ。
キリの気配を辿っていれば、花瓶を抱えて歩くキリを発見。その直後に、シカマルがやってきたのだ。
カカシ(いやーしかし、おもしろいものが見れたもんだ)
先ほどの耳まで真っ赤になっていたシカマルの姿が浮かぶ。
いやはや、なんと純粋な反応だろうか。今日は酒が美味く飲めそうだ。
アスマやシカクは知っているのだろうか。
カカシ(まあ今はつつかず、見守ってあげるかな)
純情な少年の邪魔をするつもりはない。
カカシ(キリも思ったより元気そうだったしね)
うんうんと鼻歌まじりに、カカシは帰路についた。