第76章 これが幸せ
今朝ヨシノが、秋道の奥さんに野菜のお裾分けを貰ってくると言って、出掛けていったのだが。
その帰りに、ちょうど朝から修業に出ていたキリを見つけて、捕獲して来たらしい。
シカク「朝、母ちゃんが捕まえて来た」
シカ「……ふーん」
シカク「っ、お前……キリのことになると本当にわかりやすいな」
こんなに喜んでいるのが隠せていない、ふーんが他にあるだろうか。
よく周りの親達からも、シカマルは年の割には落ち着いているだとか、若年寄りだとか言われるのだが、いやいやまったく。
シカク(年相応の表情も見せてくれるじゃねぇか)
それが我が息子ながら、可笑しくて仕方がない。
そんな楽しい朝食も終わって、四人は手を合わせる。
「ごちそうさまでした」
カチャカチャと、ヨシノを手伝って片付けるキリを手伝うシカマルと、そんなシカマルを茶化しながら手伝うシカク。
そこで、シカクは思い出したように、あっと声を上げた。
シカク「キリ、そういやあれどうしたんだ?」
〈あれ〉の示すものがわからなくて、キリは首を傾げる。
シカク「ほら、前の任務で買ったあの石」
キリ「!!」
キリが悩みに悩んで選んでくれた四人で揃いのあの石は、もうヨシノとシカマルは持っているのだろうか。
そうなれば、まだ持っていないシカクにも、渡して欲しいものだ。
すると、キリは途端に困ったような表情を見せた。
キリ「まだ……私が持っています」
「ここに」と、いつもキリが身に付けているポーチからは、以前購入した四つの土産が出て来る。