第76章 これが幸せ
トントンと、キリの後に続いて階段を降りていけば、居間にいたシカクが顔を上げた。
驚かせようとキリをシカマルの部屋に送り込んだので、その反応を楽しみにしていたシカクだったが、シカマルの顔を見て思わず吹き出した。
シカク「ぶはっ……っくく」
ぐっと歯を噛み締めて、にやけてしまう顔を隠そうとしているのだろうが、まるで隠れていないシカマル。
その表情の嬉しそうなこと嬉しそうなこと。
シカク「っ……」
シカ「……」
そんなシカマルを見て、目をつぶって下を向き、堪えるように身体を震わせているシカクの前に、シカマルは黙って席に着く。
シカク「っ、ふ……良かったなシカマル、そんなに嬉しかったか……くくっ」
シカ「……うるせー」
ふいっと、気恥ずかしそうに視線を逸らしたシカマルが微笑ましくて、シカクの表情までにやけてしまう。
おいおいうるさいではなく、俺にありがとうとお礼を言うべきなのではないか。ん? と、シカマルをからかってやれば、むっと口をつぐんで、シカマルはさらにそっぽを向いてしまった。
シカク(ちっとからかい過ぎたか)
そう思いながら笑っていると、シカマルは頬杖をついて顔を背けながら、ぼそりと小さく呟いた。
シカ「………ありがとう」
シカク「だっはっはっは!! どうしたお前随分と今日は素直じゃねぇか、くそっ腹痛ぇ!!」
我慢していたのだが、もう辛抱たまらずに腹を抱えて爆笑していれば、シカマルはちらりと、ヨシノの手伝いに行ったキリに、視線を向けた。
シカ「……キリ、今日朝飯食ってくのかよ」
シカク「くくくっおう、みたいだな」