第76章 これが幸せ
第76話 これが幸せ
シカク「そのにやけた顔、いい加減どうにかしろよシカマル」
食卓についているシカクとシカマルは、ヨシノが作った朝食をせっせと盛り分けているキリを見つめていた。
そしてシカクからは、そんなお咎めの言葉をもらうが、今シカマルはとても浮かれている。
どうぞ、好きに言ってくれて構わない。
何故、シカマルがこうも頬を緩ませているに至るのか。
それは、今から十数分前の出来事が原因だ。
普段と同じように、愛する布団にくるまって、熟睡していたところ。
ゆさゆさと、そっと体を揺すられる。
シカ「ん……」
まだうとうとと、夢と現実の境目にいれば、そこに優しい声音が響いた。
キリ「おはよう」
シカ「!!?」
とても近くから聞こえたその声に、シカマルの頭が一気に覚醒する。
パチリと目を開ければ、そこにはキリの姿があって、シカマルは思わず目をこすった。
シカ「……はよ」
まだ状況をまるで理解していない頭で、そう言えば、ふとキリに微笑まれる。
シカ(っ……)
寝起き数秒で、キリの微笑みをもらって、心の準備も何もなかった心臓が大きく跳ねた。
キリ「シカクさんがご飯だから呼んで来てって」
「起きた?」と、あまり喋らないシカマルに確認を入れるキリに、シカマルはどくどくと早い鼓動を感じ、少し頬を染めながらも、体を起こした。
シカ「……起きた」
キリ「良かった。あと少しで出来るみたいだから、降りてきて」
すくっと立ち上がったキリは、そこで動きを止める。
シカ「?」
キリ「一緒に降りる?」
ヨシノを手伝うから、すぐに降りるならと、そう言ったキリ。
その答えなんか、ひとつしかないだろう。いいえを選ぶ奴がどこにいる。
はい一択だ。