第75章 忠犬
せっかく芽吹き始めていたのに、カカシがへし折ってしまった、あの二人の芽は今どうなったのか。
カカシ「ぜーんぜん迷惑なんかじゃないよ」
それはいいから。で、どうなのだと。
キリの続きを促すカカシ。
先ほど、去り際にシカクから余計な事はするなよと、しっかり釘を刺されたし、カカシも前の一件で懲りているので、特別何かをするつもりはない。
だが、現状をほんのりと聞くぐらいなら、構わないだろう。
もう本当に、気になって仕方がないのだ。
イチャイチャパラダイスを読んでいる時にも、男女二人の恋愛的話しになると、もやもやとシカマルとキリが頭に浮かんでくるくらいには。
またちょうど、イチャイチャパラダイスの中でも、すれ違いの場面で、セリフすらシカマルとキリに置き換わってしまって、もう本の内容どころの話ではない。
カカシ「シカマルとは、あれから話するの?」
キリ「はい。少し私が……一人で勝手に話が出来ない状態にはなりましたが、今は普通に話します」
カカシ(うっ……)
シカマルと話せない状態にしたのは、カカシのせいでもあるのだろう。
ずきずきと心が痛む。
キリ「本当言うと、ずっとしんどかったです。自分で決めた事なのに、中々それを受け入れられずにいました」
「この恋心をなくす事に努めたのですが」と言ったキリが俯いたように見えて、カカシがそっとその頭に手を伸ばそうとした時だった。
パッとキリの顔が上がって、その表情が、それはそれは晴れやかな事。
カカシ(え?)
キリ「でも、今は本当にもう大丈夫です」
嘘偽りのない、その明るい表情に、カカシは小首をかしげる。
カカシ「それは、何でか聞いてもいい?」