第75章 忠犬
そうして歩き出した上忍衆の内、カカシは一人立ち止まる。
アスマ「カカシ?」
カカシ「あーすぐ追いつくから、先に行っててくれる?」
アスマ「?」
よくわからないがわかったと、再び歩き始めたアスマと紅。
そんな中で、シカクに向けられた視線が小さく刺さった。
カカシ(いやぁ、ほんと……怖いくらい鋭いねシカクさん)
ははっと乾いた笑いを心中で浮かべて、カカシは、くるりと目的の人物へ向き直る。
カカシ「キリ、もう身体は大丈夫?」
キリ「はい。まだ全快ではないですが、任務の遂行も可能です」
それは頼もしい限りだが、少しは自分の身体も大事にしてくれと言えば、キリにじっと瞳を覗かれる。
キリ「ありがとうございます。でも、それはカカシさんもです」
「自身の事も気遣って下さい」と、肩に視線を向けられて、まいったなと苦笑する。
この間の任務で少し厳しい戦いになり、肩を負傷したのが、どうやらバレていたらしい。
カカシ「……はい」
カカシ(みんな色々鋭過ぎるでしょ……)
カカシ「それにしても、シカクさん元気になって良かったね」
キリ「はい」
にこりと、本当に嬉しそうな笑顔を見せるキリに、こちらも自然と笑顔を返す。
カカシ(よし……)
前置きは、ここまでだ。
これからようやく本題に入る事にしよう。
カカシ「あれから、どう? 悩みは解決出来た?」
キリ(悩み……? ……あっ)
キリが脳裏の記憶を漁れば、すぐに理解したその〈悩み〉。
キリ「その節は、ご迷惑をおかけしました」
そう。ずっと。
あれからずーっと。
カカシはシカマルとキリの行方が、気になって仕方なかった。