第75章 忠犬
シカク「馬鹿言うな。任務ならまだしも、これぐらいは問題ねぇよ」
会議や話し合いの場に出る事ぐらい出来ると言って、シカクはキリの方へと向き直る。
シカク「キリ」
キリ「はい」
アスマ「!」
呼ばれた瞬間、即座にこちらへと飛んで来たキリに、一同の視線が集中する。
カカシ「シカクさん……」
貴方は一体いつから犬を飼い始めたのかと、そう告げたカカシに、シカクは思わず苦笑いを浮かべた。
アスマ「……」
話している途中で、残像が見えそうな速さで消えたキリに、 少し呆れ顔で笑うアスマと、腕を組んでそんなキリを見つめる紅。
紅「あんな忠犬なら、私も欲しいわね」
ジッとアスマを見て、告げる紅に、アスマは眉をひそめて苦笑する。
アスマ「……勘弁してくれ」
「俺には無理だ」と、逃げるようにアスマは煙草に火をつける。
そんな中で、シカクを見上げてぱたぱたと振る尻尾と耳が見えるキリの頭に、カカシは手を伸ばした。
カカシ「おーよしよし」
「いい子だねー」と、目を細めるカカシに、キリはわからないながらも、ぺこりと頭を下げた。
キリ「ありがとうございます……?」
完全に犬にするそれだ。ぐりぐりと愛でられているキリ見て、シカクは何とも言えない表情になる。
シカク「あーキリ、上で集まりがあるから先に戻っててくれ」
キリ「でも……大丈夫ですか?」
心配そうにこちらを窺うキリに、シカクは先ほどのカカシと同じように、大丈夫だと言葉を返す。
どうも、木ノ葉の里の人間は、心配性が多いらしい。
キリ「わかりました」
「では、自分は先に戻ります」と、キリから、先ほど拾いにいってくれた紙を手渡される。