第16章 面会謝絶
ナルト「カカシせんせー!さっきから一体何見てんだってばよ?」
カカシ「あっ こらばか」
ナルト「あー!キリ!シカマル!」
カカシ「あーあ、今いいところだったのに…」
「お前らこんな所で何してんだ?」と、手を振ってやってくるナルトにハッとして、シカマルは出していた手を引っ込める。
ナルトの後には、カカシがなにやら非常に残念そうな様子でこちらへ歩いて来る。
カカシ「あー、ごめんね。こいつうるさくて。ナルトが修業中にバカやって怪我したんだ」
カカシが苦笑いを浮かべてから、キリに視線を向けるとその目を細め、幾分声色が柔らかくなる。
カカシ「キリ…元気そうだね」
キリはそれに答えず、視線を向けるのみにとどまった。反してナルトは先ほどのカカシの発言に不満の声を上げた。
ナルト「バカって、カカシ先生ひでー!あれはどう考えてもサスケが悪いってばよ!」
ぎゃーぎゃーとわめくナルトと、それを適当に流しているカカシたちの声がぼんやりと聞こえる中。シカマルは今しがたの自らの行動に驚きを隠せずにいた。
シカ(……俺、今なにしようとしてたんだよ)
頭で考えるよりも先に、キリへと手が伸びていたのだ。
カカシ「シカマル、顔真っ赤だけど大丈夫?」
シカ「っ!! 大丈夫っす」
シカ(あーくそ、めんどくせーとこ見られちまった)
しかも、中でも非常に面倒そうなこの人に。
にやにやとマスクをしていてもわかるその表情に、今後が思いやられた。
シカ「……あー、キリ、また来るわ」
キリ「え?ちょっと待って、もうここには……」
キリの言葉を最後まで聞く前に、シカマルは歩き始める。
「うーん」とキリとシカマルを交互に見比べて、カカシは笑う。
カカシ「俺たちも帰るよ。キリ、またね」
ずるずるとナルトの首根っこを掴んで、カカシたちも病院を後にした。