第75章 忠犬
「心配かけたな」と、手を上げれば、曲がり角からはカカシに続いて、アスマ、紅とぞろぞろと担当上忍達が現れる。
そこへ、紙を手に戻ってきたキリも、カカシたちの姿に立ち止まる。
アスマ「キリ、久しぶりだな」
キリ「お久しぶりです」
アスマ「なんだ、随分機嫌が良さそうじゃねぇか」
紅「元気になったみたいで良かったわ。ヒナタも心配してたから、また顔を見せてあげて」
キリ「はい。近いうちにまた、家に伺います」
アスマ「くくっ、キリ。シカマルにも少しは構ってやれよ?」
最近不貞腐れてずっと眉間に皺を寄せているシカマルを思い出して「あいつ拗ねまくってるぞ」と、アスマがニヤニヤと愉快そうな笑みを浮かべながら教えてやれば、キリは不思議そうな顔を見せる。
キリ「彼とは、今は毎日会っています」
アスマ「まあ会っちゃいるんだろうが、そうじゃなくてだな」
うーんと、言葉を選んでいるアスマをよそに、カカシ達はにこやかに会話を交わす。
シカク「みんな揃ってどうした?」
カカシ「ああ、いえね。これから本部で、中忍試験について討議があるんですよ」
シカク(中忍試験……もうそんな時期か)
シカクはアスマと紅と話しているキリを一瞥する。
実力は、とっくに下忍のレベルを超えているキリ。
忍として、もうどこに出したって恥ずかしくないキリを、中忍試験に推薦しない理由などないだろう。
シカク「これから集まるって言ったな。俺も参加する」
カカシ「試験自体はまだ先です。討議内容は、後で報告しますよ」
まだ安静にしていた方がいいのではないかと、体を気遣うカカシに、シカクはそれを豪快に笑い飛ばした。