第16章 面会謝絶
シカ(いや、ちょっと待っ……まじかよ…?)
たどり着いた答えは、今までのどの答えよりも納得出来て。
そして、どの答えよりも受け入れがたかった。
それが本当なら、なんて面倒なことになったのだろう。
しかも、それは自分では気付かない内にいつの間にか。
突如、シカマルはくるりと踵を返して、来た道を戻る。
迷いない足取りで病院へ入り、受付に向かう。
受付では、医療事務員が再び戻ってきたシカマルの姿を見て、突然寝たフリをしてくれる。
シカマルは通り過ぎる時に礼を告げて、もう一度キリの病室へと急いだ。
キリ「あなた……帰ったんじゃ…」
ばったりと、病室の外でキリと遭遇する。おそらく花瓶の水を変えようと出て来たのだろう。
キリは両腕に花瓶を抱えていた。そして右手には、今日シカマルがお見舞いに持ってきた少しいびつな形になってしまった花。
きっとその花も、花瓶の中でいまだいきいきと花を開かせている淡い桃色の花達と合流するのだろう。
キリの驚いたような、きょとんとしていつもより丸くなった青色の瞳に、シカマルの姿がうつる。
シカ(あー……。俺、こいつのことが好きだ)
キリに会って、その姿を、顔を見て、その声を聞いて、愛おしいと思ってしまった。
もう逃れようのないこの感情にシカマルは気付いてしまう。
ふっとシカマルの右手がキリへと伸びる。