第16章 面会謝絶
では、キリが同期の内の一人だから。
以前いのに、キリの事をよく気にするなと揶揄われた時も、こう説明したことがある。
シカ(キリは……木ノ葉の仲間だ)
これは誤魔化しではなく、本心だ。キリが他里から来て、何か事情があることも分かっているが、シカマルは同じ木ノ葉の仲間だと思っている。
しかしそれもまた、考えるとキリへ近づく理由にはならなかった。
キリはシカマルや、他の同期たちと仲良くしようとはしなかった。
そんなキリのことを邪険に扱うつもりはないが、何もわざわざ関わる必要はないのだ。
実際にキリがアカデミーに来た頃、自分でもそう思っていたし、関わるつもりはなかった。
木ノ葉の仲間であるからといって、みんながみんな仲良しこよしでなくてはいけないわけではない。
その証拠に、同じように他人とあまりつるもうとしないサスケに、シカマルは自ら関わりにいくことはなかった。
サスケも木ノ葉の仲間ではあるが、シカマルにとって決して仲の良い関係なわけではない。
キリもそれに当てはまるはずなのだ。
シカマルの頭に疑問が浮かんだ。
シカ(そういや、なんで俺はこんなにあいつのこと気にしてんだ…?)
最近では特にその傾向はひどかった。
キリが入院してから半月の間。
普段ならば空いている時間は、のんびりと将棋をさしたり、空を見ていつの間にかうたた寝をしていたり。もっぱらそんな風に時間を使っていたのに、いつでもキリのことが頭にあった。
それもひどいときには、任務や修行の最中まで。
シカ(いや、確かにこの二週間はひでぇが、もっと前からじゃねぇか……?)
ふとキリの事が頭に浮かぶのは、今回の任務より前からあった。
では、自分は何故。
そこまで考えて、ある一つの考えにシカマルはたどり着いた。
シカ(……おい、嘘だろ)
そして同時に、いのの言葉が頭に浮かぶ。
【シカマル、もしかしてキリのこと好きなんじゃないの?】