第16章 面会謝絶
シカ(俺が……俺のせいであいつに怪我をさせたから)
それが一番の理由に思えた。
しかしだ。キリ本人から気にするなと言われ、キリも怪我をした原因など全く気にしていなかったように思う。
シカマルのせいだと責めたり、恨んだりする気持ちはないようだった。
正直なところ、キリとシカマルでは実力の差は明らかだ。天才といわれるサスケならばいざ知らず、今のシカマルではキリの相手にならないだろう。
あの奇襲時は、実力のある者が実力のない弱き者を守った。
だから良いとはもちろん言わないが。
しかし仮に、シカマルが守れるだけの実力をもっていたとすれば、同じことをしただろう。
例えば、反対にシカマルがキリたちを庇ったとして。
シカマルは怪我をしたことを気にとめないし、ましてや庇った相手を責めるなんてことはあり得ない。
そして、シカマルが怪我をしたことでキリたちが罪悪感を感じて、自分を責めて欲しくもない。
置き換えて考えてみれば、シカマルがずっと気にしている方が、キリにとって良くないことなのかもしれない。
シカ(俺が出来ることは、次に同じ失敗しねぇようにすることだ)
気に病むだけでは、何も解決しない。
心から反省し、次に活かすこと。それが正しいことは分かっている。
ただ、それで今回のことは終わり。と、切り替えれないのは何故なのか。
シカ(他にも理由があんのか……?)