第73章 願い
その後もけたけたと可笑しそうに笑うシカクに、今、その万が一の引導を自分が渡してやろうと。
白眼を発動させて構えると「待て一旦落ち着け」と、シカクは引きつり笑いを浮かべながら後ずさった。
それから、おそらく世界で一番大人気ない喧嘩が始まって、小一時間ほどが経過した時。
里内で派手に、暴れていたヒアシ達に気付いたカカシが姿を現した。
カカシ「え、ちょっ何してるんですか」
たまに巻き込まれて誤爆しながら、必死に二人の間を取り持とうと、宥めるカカシに喧嘩の理由を話してやると、あまりの稚拙さに絶句したカカシ。
カカシ「………」
二人にそれなりにボコボコにされたカカシは、何も言わずにスッと姿を消して、数分後に再びここへ訪れる。
シカク「!!!??」
カカシの隣にいた人物に、先ほどまで威勢の良かったシカクが、まるで借りてきた猫のように大人しくなった。
ヨシノ「あんた! いい歳して何やってんだい!!」
シカク「か、母ちゃん違う! これはっその!」
真っ青な顔をして、手も首も横に振って、後ずさるシカク。
そんなシカクのもとへ、ずんずんと歩み寄るヨシノに、シカクは反射的に身を硬くする。
ゴンッ
シカク「っ!!!」
次の瞬間。脳天に落とされたヨシノのゲンコツに、シカクは頭を押さえてしゃがみ込んだ。
ズキズキと痛む頭をさすりながら、シカクは恨みがましい目でカカシを睨みつける。
シカク(くっ、カカシてめぇ!! せめてシカマルにしろよ! 家にあいつも居ただろうが!!)
何もこんな最強の助っ人を、召喚しなくたっていいだろう。