第16章 面会謝絶
シカマルがキリの視線を辿れば、今自分が力を入れて握ったことで、くしゃりと少し形を変えてしまった花があって、慌てて手を開いた。
シカ「あ、わりぃ」
すっとキリから手を差し出され、少し申し訳なさを感じながら歪んでしまった花を置く。
キリは、じっと花を見つめながら口を開いた。
キリ「……………あなたは、何がしたいの」
シカ「なんだよ急に」
キリ「毎日、私にこんなものを届けに来て……。シカクさんから聞くあなたの話では、そんなことするように思えない」
キリはシカク班で集まった時、修行や任務の合間などで度々、シカクからシカマルの話題を出されていた。
シカク曰く、彼は面倒くさがりで、やる気の見えないいわゆる無気力な奴なんだと、そう聞いている。
ならば、キリのことなど、面倒くさいと放っておいてくれればいいのだ。
キリ「どうして私に構うの。私は今回のことも、今までのことも、気にしてない。だから、私には関わらないで」
シカ(っ……)
「お願いだから」といつも無表情なキリが少しつらそうに言葉を紡げば、シカマルの胸が痛んだ気がして、シカマルはそれ以上かける言葉が出てこなかった。
キリ「……話はそれだけなら、もう出て行って」
ぱたりと、201号室のドアが閉まる。
キリの病室をあとにしたシカマルは帰路を歩きながら考える。
【どうして私に構うの】
どうして、そう聞かれて答えはすぐに出なかった。