第73章 願い
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ヒアシを中心にして始まった戦闘には目を向けず、ネジはシカクの影陣壁に手を当てた。
ネジ「白眼!」
チャクラを込めれば、ぴきぴきとネジの目尻からこめかみに向けて筋が浮き出る。
じっと目を凝らすようにして、結界をくまなく探れば、なるほどヒアシが言っていた〈目〉を突き止めることが出来た。
ネジ(見つけた……!)
白眼を持ってしても、ほんの僅かにしか見えないそれは、おそらく予めヒアシから説かれていなければ、探し出す事は不可能だっただろう。
その〈目〉に、ネジは聞いた手順通りにチャクラを込めれば、今までビクともしなかった結界がはじめて動きを見せる。
ネジ「!!」
身体を飲み込もうとでもいうように、ネジの腕に影が絡みついて、侵食する。
次第にこちらへと範囲を広げてくる影に、みしみしと腕を締め上げられ、ネジは顔を歪ませながらも、続けて手順を踏んでいく。
ネジ「くっ……!」
腕から肩に、肩から首へと到達しようとしたところで、影がピタリと動きを止めた。
ネジ「!」
その瞬間にチャクラを最大放出すれば、影陣壁はふわりと〈目〉のところから順に、影が晴れていく。
ネジ「キリ!!」
解かれた結界。すぐさま二人のもとに駆け寄れば、その状況を把握したネジは、険しい面持ちを見せる。
ネジ(今までこんなにチャクラを……!)
額におびただしい量の汗を流し、深刻なチャクラ不足でガクガクと身体を震わせながら、シカクへチャクラを流し込み続けているキリは、虚ろな瞳でシカクを映している。
そして、腹部を真っ赤に染めたシカクの身体を確認をすれば、ネジはあることに気付く。
ネジ(これは……もう……手遅れだ)
致死量とみられるシカクの出血量。
ネジは、シカクの口もとに耳を近付けてみるが、すでに呼吸はされていないことがわかる。