第73章 願い
第73話 願い
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シカクからの援軍要請を要請を引き受けた一向は、森の中をノンストップで駆け続けている。
「!!」
その目に、キリの姿をとらえた彼らは更にスピードを上げた。
キリまでの距離はあと数キロ。
そこには、横たわるシカクとキリの姿。
そして、そんな二人を包む影のドームを取り囲むようにして、攻撃を繰り出している敵群。
敵の姿に、闘志が溢れ出る。
「行くぞ」
「はい!」
木ノ葉の里から、駆け続けているのも忘れてスピードを上げれば、みるみるうちにキリとの距離は縮まっていく。
そして、ついに一向はキリのもとへと到着することになる。
『その額当て……助っ人の登場ってとこかな』
『それにしてもたった二人なんて、随分舐められたものだ』
『『ーーっ!!?』』
ヒアシ「八卦六十四掌!!」
迷うことなく敵群のど真ん中へと、特攻したヒアシの柔拳に、なぎ倒される一同。
ヒアシ「ネジ!! 結界の解術は説明した通りだ」
ネジ「ですが、ヒアシ様……」
囲う敵の多さを見て、今キリたちを守る結界を解いてしまっては……と、迷いをみせるネジに、ヒアシの眼光がささる。
ヒアシ「誰一人として、そこへは行かせん」
早くしろと指示を受けて、ネジは里を出る前に、ヒアシから伝えられた影結界の解術を試みる。
それを見て、ヒアシはゆっくりと敵群に視線を戻した。
ヒアシ「さぁ……来い。存在ごと無に帰してやろう」
怒気を孕んだヒアシの重々しい言葉に、びりびりと空気が張り詰める。
『くっ……』
『怯むな、かかれ!!』