第16章 面会謝絶
シカ「悪かった。俺のせいでお前にそんな怪我させちまってよ」
キリ「別にあなたに言われてやったわけじゃないでしょう。私が勝手にやったことなんだから、気にしなくていい」
シカ「そんなことを言ってるんじゃねぇ。あの時、お前一人だったらあの奇襲も防げたんじゃねーのか」
そう言われて、キリはあの日の事を思い返す。
確かに、もしも自分一人であったならばここまで深傷を負うことはなかっただろう。
あの時、キリは抜け忍の対応を上忍2人に任せていた。そして、まだ敵が潜んでいるかもしれないと注意深く周囲へと気を配っていたのだ。
そのおかげで僅差で気付くことが出来た第二の刺客からの奇襲。
前にいたシカマルとヒナタの前へ立ち、瞬時に刀へチャクラを込めて攻撃を防ごうとは思ったのだが、それはほぼ未完成の状態で終わってしまった。
なんとか致命傷を負うことは避けることが出来た。
刀は半分しか抜けていなかったものの、なんとか斬撃の軌道は逸れて、後方への攻撃は防げた。しかし、あれは正直かなりギリギリのところだったと自分でも思っている。
シカマルの拳を握る手に力が入り、手に持たれていた花がくしゃりと歪んだ。
キリ「……それ」
入院してから、毎日届けられる花。
一輪ずつ増えていくそれは花瓶に入りきらず、医療班が二度、花瓶のサイズを大きくしてくれた。
医療班は微笑ましいと笑っていたが。キリ自身は一生懸命咲いている花を捨てることも出来ず、かと言って喜んで受け取ることも出来ず、花を見るたびに複雑な気持ちになっていた。