第16章 面会謝絶
シカマルは心の中で、医療事務員に謝罪する。
おそらく医療事務員の行いは、すでにキリにバレてしまっている。あとで、彼女にも直接謝っておかなくてはいけない。
シカマルのせいで、咎められることがないように祈るばかりだ。
キリの拒絶は色濃く、病室には重たい空気が漂った。
シカ「……怪我、どうだ?」
キリ「たいしたことじゃない。明後日には退院する予定」
「はぁ」とキリはまた小さくため息をつく。そしてキリは、ベッド脇に置かれている椅子に、腰をかけるように勧める。
来訪を受け入れたというよりも、諦めたという雰囲気だったが、シカマルもそれに従った。
シカ「集中治療室に入って、そのあと半月も入院してんだ。たいしたことねぇわけねーだろ」
キリ「……治療だけにあそこまで時間がかかったわけじゃない。私にはほとんど薬が効かないから。その対処に時間がかかっていただけ」
樹の里で幼い頃から行っていた薬物投与。薬で身体能力やチャクラ量の増加をし続けていたキリは、薬物への耐性があり、効き目が酷く薄い。
そんなキリに普段の対応が出来なかったため、木ノ葉の治療班は処置が遅れた。キリが血を流し過ぎていたこともあって、思いのほか治療に時間がかかってしまったのだ。
シカ「薬が効かない?」
キリ「……体質みたいなもの」
自身への干渉が煩わしくて、眉をひそめればシカマルはそれ以上に追求をしてくる事はなかった。