第71章 真っ向勝負
沈んだ敵の後ろから姿を現したキリが、にこりと微笑んだことに、シカクは口角を上げる。
シカク「くくっ、言うようになったじゃねぇか」
ほとんど空になっているであろうキリへ、シカクは自分の忍具ポーチを投げ渡すと、キリはそれを受け取って自らの腰へと装着する。
もし、万が一にでもキリの方が敵を多く倒すようなことになれば。
シカク「そしたらよ。もう嫌ってほど褒めてやるから、覚悟しとけ」
そう言って、シカクはキリと背中を合わせる。
すると、背後からくすくすと、キリの声が聞こえてきた。
キリ「それは、すごく楽しみです」
そんなキリの言葉に、シカクもまたくつくつと笑い声をもらす。
死と隣り合わせの、肌がジリつくような戦闘のはずが、今は楽しい。
シカク(こんなに化けてくれるなんてな)
シカクの教え子は、いつしか戦友になれるまで成長を遂げていた。
師として、これほど嬉しいことはないだろう。
ずっと一緒にいて、誰よりも近くでキリの成長を見続けていた。
修業を重ねに重ねて、お互いのその戦闘スタイルと戦略は既に熟知している。
キリ(シカクさんが……)
シカク(キリが……)
キリ.シカク(どう戦うのかは手に取るようにわかる)
それは、息をするかのように容易い。
シカク「キリ、行くぞ」
キリ「はい!!」