第71章 真っ向勝負
キンキンと刃がぶつかり合って、空中戦になったキリがくるりと宙返り、敵の攻撃を避けた時。
その一瞬、目があったシカクはニヤリと笑みを浮かべた。
シカク「俺を誰だと思ってんだ。俺がやられると思うか?」
そんな問い掛けに、キリも応戦しながら、考える。
キリが持っていた飛び道具の九割は、すでに無くなってしまった。
後のことを考えていたら、すぐにやられていただろう。はじめから全力で飛ばし続けたキリの消耗は激しい。
忍具もチャクラも体力も、大きく失われている。
そして、負傷こそしていないが、キリが追い込まれる度に影を操っていたシカクも、チャクラの消費量は相当なはずだ。
今もなお、敵の攻撃の雨は止まないというのに。
余裕など、ひとつもないはずなのに。
何故だろうか。
【俺がやられると思うか?】
その問い掛けの答えは、否だった。
キリ「いえ。まったく」
シカクの敗北する姿が、まるで想像出来ないことに、自分でもおかしくて笑ってしまう。
シカク「よぉし、良い子だ」
くつくつとシカクも笑い声をもらす。
シカク「だからお前は自分の身を守ることにーー」
キリ「シカクさん」
遮られた言葉。
シカクがキリの次の言葉を待っていれば、目の前の敵が崩れ落ちるのが見えた。
どうやら、敵はシカクの攻撃を躱したところに合わせられて、キリの蹴りを背後からもらったらしい。
キリ「もし……私がシカクさんよりも多く敵を仕留めたら。後でたくさん褒めてくれますか」
シカク「!」