第71章 真っ向勝負
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キリ「はぁぁっ!!」
シカク「次はお前か? どっからでもかかってこい」
複数の敵に囲まれながらも、猛威を振るうシカクとキリに押されて、敵は攻め込みきれずにいた。
『ぁあっ……!!』
キリに足の健を切られ、その場に崩れ落ちた敵は、戦闘からの離脱を強いられる。
そんなキリの戦いぶりに、シカクは思わず感嘆の声をもらした。
戦闘開始から、数時間。
シカクに目立った負傷はなく、キリは左肩に少し深手を負った程度だった。
さらに、止まることのないキリの攻撃に、仕留められた敵は2人。
対して、シカクもキリが倒した敵よりも遥か上の実力を持つ敵を3人仕留めている。
キリの凄まじい集中力と戦力は、シカクも負けていられないほどだ。
キリ「くっ……!」
敵の連携によって、防戦に徹し、追い込まれていたキリは、シカクの起爆札による援護射撃で活路が開かれる。
その隙に、バッと後退すれば、先ほどまで相手をしていた敵をシカクが押さえてくれているのが見えた。
キリ「シカクさん!」
ほんのひと呼吸、息を整えてからキリはその戦場に刀を持って突っ込んでいけば、そこは乱戦状態となる。
シカク「キリ、大丈夫か」
キリ「っ、はぁっ……はい」
シカクの足手まといにだけは、何があってもならないとキリは自分に誓いを立てて、この戦場にいる。
トップスピードを超える速さで動き続けている体に、心臓はもはや早鐘のようになっていた。
シカク「キリ、そんなに気負うな」
キリ「!」
隣り合わせで戦うシカクから、この戦場にそぐわぬ、優しい声が届いた。
シカク「お前のことは、絶対に俺が守る」
乱戦状態になっている今、シカクの顔を見る余裕などないが、後ろから聞こえてきたそれが、どれだけ頼もしいことか。