第16章 面会謝絶
「あっほらこれ、持っていって」
シカマルは、先ほど受付に預けた花を手渡される。
「私何も知らない知らない」と、目を逸らしてくれる医療事務員にもう一度お礼を言って、シカマルはキリの病室へと急いだ。
シカ(201、201……!)
201と書かれた札を見つけて、シカマルは立ち止まる。
いつもそのためにここに来ていたのに、いざキリと会うとなると何故かドアをノックする手に緊張が走る。
一度、深く呼吸をしてから、ノックをすれば、少し間をおいてキリの返事があった。
キリ「……どうぞ」
無機質な声が響いて、シカマルはガチャリとドアを開ける。
キリ「……面会は断っているはずだけど」
「どうやってここに来たの」と言われて、シカマルは先ほどの医療事務員とのやり取りを思い出す。通してくれた彼女の優しさを告げ口する気にはなれず、シカマルはぽりぽりと頭をかいた。
シカ「いや、なんか忙しそうでな。俺が行ったのも気付かなかったみてー」
キリ「部屋、どうしてわかったの」
シカ「あー……」
キリ「……はぁ」
キリ(あの人、最近花を渡しに来る時に、やたら会うように勧めてくるなとは思ってたけど……)
しかしながら、まさかキリ本人に断りなく、病室まで通してしまうとは思っていなかった。
キリは初日からよく自分に構ってきていた医療事務員の姿を思い出して、深くため息をつく。おそらく悪気はないのだろうが、お節介というものだ。
キリ(もっと強く、面会は断っておくべきだった……)