第70章 我が師
どうやら向こうは木ノ葉の里に戻る自分たちを、待ち伏せしているようだ。集落に立ち寄った際に、敵との距離が縮まることはなかった。
その為、様子をみながらも、集落で一泊して体を休め、食料や備品の補充を行う事が出来た。
そのまま、集落で時間の経過を待っていれば、昼前あたりで敵の動きが変わる。
シカク(ちっ、勘付かれたか……)
使いの鳥は、今頃ちょうど木ノ葉の里に到着しているだろう。
しかしながら、援軍要請を受けてから、実際にここまで援軍が来るのにどれくらいの時間がかかるのか。
シカク(すぐに動きがあれば、最短で三日。四日で妥当、遅くて五日以上ってとこか)
敵の配置が、徐々に横広がりになっていく。
こちらを囲むように接近してくるのを感じて、シカクはキリに目配せをすると、それに気付いているらしいキリも頷く。
援軍到着の最短での三日も、この場所であればの話だ。
敵と距離を保とうとすれば、必然的に木ノ葉の里から遠ざかることになる。
そうすれば、援軍の到着も遅れが出る。
あと一日。いや、半日気付かないでいてくれたら……とシカクは顔をしかめるが、気付かれてしまったものはもうどうしようもない。
キリが読み取った16人の敵の後ろには、さらに5人の敵が潜んでいる。
それに、この距離だ。シカクが感知出来ていない敵がいくらいてもおかしくはない。
とても二人で戦える人数ではない。
木ノ葉の里から遠ざかるのは痛いが、シカクたちには、どうにか接触を避ける選択肢しか残されていない。
シカク(一泊と、蓄えが出来ただけでも上出来か)
シカク「今からすぐに集落を出るが、予定の変更はない。援軍が来るまでは接触を避ける」
キリ「はい」
シカク「森の中へ入れば、飛ばすぞ。絶対に離れるな」
キリ「はい……!!」