第70章 我が師
第70話 我が師
森の中を歩いていたシカクは、キリに合図を送る。
キリ「!」
シカク「キリ、ここらで少し休憩するか」
シカク【まだかなり遠いが、つけられてる】
いつも通りの口調で休憩を言い渡されたあとに、小さく呟かれた言葉。キリも周囲の気配を探る。
キリ「はい」
キリ【……南西、木ノ葉の方角ですね。気が付きませんでした】
シカク「ここから少し北の方へ行けば、小さな集落があるから今日はそこで一泊する。腹はどうだ? 飯もそこでいいか?」
シカク【向こうがどれくらいいるか、わかるか?】
手早く印を組んだシカクは、地面に巻物を開いて、口寄せを行う。
キリ「わかりました。食事も今はまだ大丈夫です」
キリ【……12、13…16……までしか。正確にはわかりません】
ボンッと巻物から、使いの鳥が姿を現した。
《至急、援軍求む》
サラサラと現在の状況と場所を記し、シカクは鳥の足首へと書簡をつける。
シカク【敵がいる。見つからないように、気を付けてな】
そっと鳥の頭をなでれば、クルルッと喉を鳴らした鳥は羽ばたき、敵が潜む場所を逸れて、森の中を低空飛行で進んでいく。
シカク「おし、じゃあ行くか! あそこの飯は山の幸が豊富で美味いぞ」
シカク【16までわかりゃ充分だ。援軍が来るまで、接触を避ける】
キリ「それは楽しみです」
頷いたキリは、南西から少し進路を逸らしたシカクの後に続く。