第69章 宝石商の護衛
シカク「それでいいのか?」
キリ「はい。シカクさんの分も、私が決めて良かったんですか?」
少し不安そうに言うキリに、シカクは頷く。
シカマルとヨシノはキリに選んでもらって、シカクだけ自分が選んだやつなんて可哀想だろう。
シカク「おう。じゃあこの4つを」
依頼人「まいど」
キリが最終的に決めたのは、親指の爪ほどの石ひとつを、紐で包み編みにしたもの。
手首や足首、鞄など何処にでもつけることが可能との事だった。
シカク「!」
その4つの合計金額を出されたシカクは、あまりの金額に目を丸くさせる。
こんなに値引きしてしまえば、売上どころか売っても赤字にしかならないのではと、依頼人を見ると、依頼人は気の良い笑顔を見せる。
依頼人「あの子は優しい子だね」
人気があるだとか、高価な宝石だとか、そういった基準ではなく。
キリが選んだのは、持ち主に幸運を呼び、悪いものから守ってくれると伝えられている最強の守護石とされるものだった。
依頼人「健康、長寿と最後まで悩んでたよ」
そんなに真剣に選んでもらったら、こいつら(商品)も幸せだろうと、目を細める依頼人。
シカクはその好意を有難く頂くことにする。
購入したそれを「家に帰ったらみんなに渡すから持っててくれるか」と言って、キリに手渡せば、キリは嬉しそうに礼を告げた。
キリ「シカクさん、本当にありがとうございます」
「大切にします」と、本当に大事そうにそれを見つめるものだから、プレゼントしたシカクまでもが嬉しくなる。
次の町までの道中も、依頼人とは会話がはずみ、終始和やかな時間を過ごしたシカク達の護衛任務は、無事完了となった。
依頼人からは大変感謝されて。
その関係も良好で。
キリの嬉しそうな顔も見る事が出来て。
家族お揃いの品も得る事が出来て。
実に充実した任務となった帰り道で、事態は急変する事になる。