第69章 宝石商の護衛
宝石を前に気後れして困った表情を浮かべているキリに、シカクはポンっと肩に手を置いた。
シカク「母ちゃんと、シカマルにも土産にして、みんなで揃いとかどうだ」
キリ「!!」
シカク「どれにするかはキリが選んでくれ」
キリ「私も……その中に入っていいんですか?」
控えめなその言葉に、シカクはキリの頭を乱暴になでる。
シカク「当たり前だろうが、ほら」
キリ「っ、ありがとうございます……!」
シカクが依頼人が並べ直してくれた宝石達を指させば、キリは宝石の前にしゃがみ込む。
依頼人「お嬢ちゃんはどんな宝石が好きなんだい? まだ残ってりゃいいんだが」
にこにことそう告げる依頼人に、キリは頭を悩ませる。
キリ「宝石にはあまり詳しくなくて……どれも綺麗でどれにすればいいのか」
うーんと宝石を見つめるキリに、依頼人は驚きの表情を浮かべた。
依頼人「今までに宝石を身につけた事は無いのかい?」
キリ「はい」
依頼人「そりゃあ勿体ねぇな! よし、なら端から説明しようか。宝石にはな、その石に宿る力があるんだ」
キリ「力?」
それをパワーストーンと呼び、健康や運気向上、他にも色んな効力を与えてくれると言われている。と、依頼人は教えてくれた。
一つ一つの宝石の説明をしてくれる依頼人に、キリは熱心に耳を傾ける。
時折、質問を返しながら、真剣に宝石を選ぶキリに、シカクは笑みをこぼしながらその決定を見守った。