第16章 面会謝絶
あれから二週間、毎日病院へと足を運んだが、キリの面会謝絶が解かれることはなかった。シカマルは本人に会うことも出来ず、ただただ花を受付の人へ届けることしか出来ない。
もはや常連となったシカマルの顔を見て、医療事務の女性は眉を下げる。
「ごめんなさいね、毎日来てくれているのに会わせてあげられなくて」
心底申し訳なさそうに目線を落とすが、シカマルがキリに会えないことにこの人には何の落ち度もない。
この人を責めても仕方がないことで、そしてそれが筋違いも甚だしいことぐらいは分かる。
「キリさんにもお友達がとても心配してくれてるから、一度会ってみたらって言ってるんだけど…」
シカ「あいつ、それに何て答えたんすか?」
そう聞けば、その人はさらに眉を下げる。
「そんなものは私に必要ないからって」
シカ「……そっすか」
シカ(……看病どころか…心配すらさせてもらえねーのかよ)
受付に重い沈黙が訪れて、医療事務員が「ああもうっ」と、開いていた帳面をパタリと閉じる。
「私、いますごく忙しくて、一人くらい誰かがお見舞いに行っても気付かないかも知れないわ」
医療事務員は明後日の方向を見ながら、わざとらしく言った。
シカ「え…と、それは行っていいってことすか」
シカマルが少し呆気に取られながら確認すると、医療事務員は自分の視界を遮るように、顔を手で覆った。
「私は何も見てない見てない。キリさんが201号室なことも知らない」
シカ「っ!! ありがとうございます!」