第69章 宝石商の護衛
シカク「任務内容をもう一度繰り返す。今回の任務は、隣町に来る行商人の護衛。扱う商品は宝石類。任務ランクはBだ」
頷くキリに、シカクは続ける。
店にに訪れた客が、商品を盗む、また偽物と取り替えるという盗難防止。
さらに、隣町から次の町までの道中の護衛が今回請け負った任務内容である。
護衛時のルートや、店の規模などを説明していけば、キリはその一つずつに了承していく。
シカク「何か質問はあるか? なければ、このまま進む」
キリ「問題ありません。行きましょう」
即答するキリに、シカクは頷いて、依頼地へと足を進める。
シカク(本当にキリは手がかからねぇな)
任務内容は、緊急時以外はこうして里を出る前と、任務実行が近付いて来た頃に復唱している。
こうして、二重の確認をしているわけだが。
最初の頃は、キリから一度目の時だけでなく、任務実行間際の二度目に質問が来ることも、ちらほらあった。
初めて聞いた時には思わなかった疑問が、移動している最中に出てくるのだ。
それが、今では全くない。
任務内容を聞いた瞬間に、細部まで考えを巡らせることが可能になっているということだ。
〈下忍〉ならば、一度目二度目どころか、任務実行中に不明点が出る事だって、よくあるだろうに。
シカク(シカマルも、でけぇ目標を追いかけちまったもんだな)
今でこそ、シカクはキリの上司という立場だが。
シカク(キリと同年代で、この背中追うのは中々厳しかっただろうな)
そんな苦笑いを胸に、シカクは優秀過ぎる部下と目的地を目指した。