第67章 離れた距離
シカ(ぁぁぁああああ)
これほどレベルの高い赤恥もそうそうないだろう。
穴があったら入りたい。
そして、すぐにその穴を埋めてくれ。
そんな呻きながら悶えているシカマルに、カカシの同情心は最高潮に達する。
カカシ(い、いたたまれない……)
結局、あのあと。
カカシが忍犬のパックンを口寄せして、キリの居所を探し出してくれた。
すると、匂いを辿っていった先は、日向の宗家だった。
さらに、カカシが内部の人間に事情を聞いてくれて、どうやらヒアシがキリに「遊びに来ればいい」と誘ったらしい。
そして、ハナビとヒアシの要望により、泊まることが決まったそうだ。
シカ(……今はヒナタもいねぇだろうが……)
長期任務で不在なはずのヒナタ。そんな中、誰が日向家にいると思う。
そんな思いが胸を占めたが、さすがにヒアシたちがいる日向家の中に、こんなに夜遅く入っていくわけにも行かず、シカマルは踵を返すしかなかった。
帰る前に手厚い協力をしてくれたカカシに、感謝たっぷりに礼を言えば、何故か自分以上に頭を下げられた。
ギュッとカカシはシカマルの手を握って「こんなことで良かったら何回でも協力するから」と、「キリを探すとかなら、何キロ先だって見つけられるからいつでも言ってくれ」とまで告げられる。
シカ(カカシ先生……)
なんて親切で良い人なんだと、カカシに対する認識を改めた。
カカシ「感謝なんてしなくていい。むしろ、しないでお願い」
なんて、最後まで謙虚な姿勢を貫くカカシに、有り難く思いながらシカマルは家路についた。