第67章 離れた距離
カカシ「いや、ただ好きな女の子に会いたくて来てるんだよって」
シカ「なっ……」
何も、わざわざそんな事を言わなくてもいいだろう。
だからさっきの暗部は、あんな感じで去っていったのか。
羞恥心にシカマルが顔を熱くさせていれば、カカシは少し迷いながらも口を開いた。
カカシ「えーっと……キリに会いに来たんでしょ?」
シカ「あー、まあ。はい」
「そうっすけど」と、言葉を落としたシカマルの表情が暗い。
カカシ(うっ……)
そんなシカマルを見て、カカシの胸が切なくなった。
カカシ(シカマル、ほんとごめん)
「でも、見ての通り出て来てくれないんで」と、キリの部屋を見るシカマルに、カカシの胸にえぐられるような痛みが与えられた。
カカシ「ちょっと俺が見てこようか」
カカシ(これぐらいは……いいでしょ)
以前、二人の間に入り、盛大な失敗をした後だが。
心苦しくて仕方がない。
シカ「………お願いしてもいいっすか」
もう、藁をも掴む気持ちなのだろう。
申し訳なさそうに、そう頼んでくるシカマルに、カカシは痛む胸を押さえながらこくこくと何度も何度も頷いて、キリの部屋へ赴く。
カカシに出来ることなら、して欲しいと思うことはなんでもする。
もう本当に何でも言ってくれ。
そんな気持ちで、キリの部屋の前に来た時。
カカシはあることに気が付いた。
カカシ(これは……)