第67章 離れた距離
ドンドンとドアを叩き続けて数分、隣人から「うるさい」と、それはもう怒られた。
深夜のこの時間だ。
全面的にシカマルが悪いため、ドアを叩くのを止めて、部屋のベランダへ向かう。
シカ「キリ……キリ、起きてるか?」
コンコンと、ほんの少し窓を叩いてみるが、やはり返事はない。
シカ「夜中に悪い。どうしても、お前と会って話してぇ」
出てきてくれないかと、言葉を紡ぐが、反応は得られなかった。
シカ「少しでいい……頼む」
話すのが嫌なら、顔を見るだけでもいい。
シカ「嫌なら部屋の中にいるままでもいい。窓も開けなくていい。……キリの顔が見てぇ」
それでも、顔を出してくれないキリに、ぎゅっと心臓が掴まれた。
シカ(キリ……)
しばらくの間、キリに声をかけたり、小さくノックをして部屋周辺をうろついていれば、里内をパトロール中だった暗部に、不審者として捕まった。
『何をしている』
シカ「は?」
暗部にそのまま連行されかけて、シカマルは抵抗をみせる。
また、明日からは任務なのだ。
今夜会わなくては、次はいつ会えるのかわからない。
そして、そのままシカマルは暗部と言い争いに発展。
今はこんなことに時間を使っている場合ではないと、気持ちに余裕がなかったこともあり、シカマルの言葉が荒かったのも原因となっただろう。
ついに、暗部は強制連行を決めたようで、急に姿が消えたと思えば、腕をとられて後ろへ捻り上げられる。
シカ「痛ぇっつの、離せ!!」
それでもまだ抵抗を見せていた時、そこに救世主が現れた。
カカシ「……えーっと……君ら、何してるの?」