第67章 離れた距離
……………………………
それから、結局シカマルはキリに会えぬまま、十日が過ぎてしまった。
シカ(くそったれ……!!)
一体、何がそんなにシカマルの邪魔をしているというのか。
泊まり込みの任務の日程が、ちょうどキリとずれ込み、互い違いになり。
任務帰りにキリの家に行けば、不在。
かといって、修練場に行っても不在。
修練場の住人のようなキリが、なぜここにいないのか。
周囲にいた人間に聞けば、先ほどまではそこで修業に励んでいたという。
そこで、シカクからのタレコミにより、キリは2日間の休みがあるという有力情報を仕入れた。
シカマルは運悪く日帰りの任務があり、帰りも遅くになってしまった。
だが、もう夜中だろうが知ったことかと、里に戻り次第、急いでキリの家に足を走らせる。
キリも翌日が休みならば、調整してくれるはずだ。
シカマルがキリの家に到着した時、明かりはついていなかった。
眠りについているのだろうキリに、心の中で悪いと思いつつも、ドアをノックする。
しかしながら、キリは現れない。
何度かドンドンとドアを叩くが、それは変わることがなかった。
キリが、この物音に気付かずに、眠り続けるわけがない。
シカ(………避けられてんのか)
それは薄々、思っていたことだった。
その事実に、心が痛んで仕方がなかったが、ここで諦めてはいけないと思い直す。
気付いた時に、話さなければ。
後に伸ばしてしまえば、わからなくなってしまうことがあると、今回痛いぐらいに思い知ったのだ。
キリとの違和感を抱いた時に、どうして解決しなかったのだろうか。
一緒に暮らし始めて、いつの間にか、そばにいるのが当たり前になっていたのかもしれない。
いつでも話せるものだと思っていたのだ。
その結果、今キリとは会うことすらままならない状況になった。