第67章 離れた距離
シカク(こりゃ養子の話も可能性が出てくるか……?)
人間関係において性格や相性云々も大事なところだが、タイミングというのは、実に大きな影響力を持っている。
養子という最終手段の登場は、そう遠くない未来にあるかもしれない。
シカ「なんだよ?」
もしも、あらかじめキリがいなくなると分かっていれば、きっとシカマルはすぐに帰宅しただろう。
いつからかひとつ。狂ってしまった歯車が、二人の亀裂を生んでいく。
シカク「まず座れ。実はキリがーー」
………………………
その後、シカマルにキリが家を出た事実を伝えられ、奈良家では一悶着。
理由はなんだ、どうして止めなかったのかと、矢継ぎ早に詰め寄るシカマルに、シカクたちは少々困り気味に対応して。
シカマルが感情的になるあまり、キリを一人にして心配ではないのかと、薄情だと責めるような発言をしてしまった時、今度はシカクから怒りの言葉が届いた。
もちろんシカクやヨシノが、キリのことを心配していないなど、本気で思っているわけではないが。
いかんせん、その唐突な事実に、気持ちが追いついていなかったのだ。
しかし、本人のいないところで、シカクたちに文句を垂れても仕方がない。
キリと話をしなくては。
忍として、遥か先にいるキリに、一刻も早く追いつきたかった。
それを目指して、今日も修業に明け暮れたのだ。
シカ(……っ、何が一歩近付いたかもしれねぇだ)
浮かれて、帰路についていた頃の自分とは今、正反対の位置にいる。
シカ(……キリが近くにいねぇなら、何も意味ねぇじゃねーか)