第66章 別々の道
シカク.ヒアシ「………」
ヒアシは反省文が、生まれて初めてだったそうだ。
ここから、おっさん二人でうんうん言いながら反省文を書くという、いろんな意味で厳しい絵面が出来上がってしまった。
…………………………
シカク「まぁ、あのタヌキじじいは今どうでもいい。キリだキリ」
そう言って、シカクはカカシへと視線を戻す。
あんな反省文とは無縁だった生粋のエリートなど、知ったことではない。
少し悲しくなりながら、シカクの記憶と経験を活かして反省文の書き方をレクチャーしたなど、そんな事はどうだっていいのだ。
シカク「今回は〈そんな理由〉じゃなくて、キリが自分の意思で考えて、出した答えだからな」
決して遠慮や諦観から、他者と距離を取っているわけではない。
キリの願いで、望みなのだ。
シカク「それがキリのしたい事っつーなら、止める理由はねぇよ」
日向家当主ヒアシの力で、キリの立場は堅くなった。生半可な気持ちでは、反勢力もキリに手は出せまい。
さらに、キリのように危機感知能力や、対応力が十分に備わっている者ならば尚更。
そもそもよほど問題でない限り、子どもには出来るだけ、やりたいように、自由にさせるのがシカクとヨシノの方針なのだ。
そんなシカクの言葉に、カカシは少々驚きながらも、賞賛する。
カカシ(いやぁ、俺はてっきり……)
カカシ「シカクさんはもうキリを、手放す気はまるで無いもんだと思ってましたよ」
はははっと笑いながら、シカクの寛容な態度に、カカシは考えを改める。