第66章 別々の道
ヒアシ「とにかくだ、キリ本人が良しとすればいいのだろう」
シカク「うちに居て問題ねぇんだ、他に行く必要もねぇだろ。それに、あんたんとこは可愛い娘が二人もいるだろうが」
「うちには無愛想な息子一人だぞ、自重しろ」と言えば、ヒアシは三姉妹も華やかでいいだろうと、御付きとタッグを組んで攻め込んでくる。
その後もぎゃーぎゃーと言い争っていれば、突如、ガッと首ねっこを掴まれた。
シカク.ヒアシ「!!」
シカク「五代目」
ヒアシ「綱手殿、何を……」
そのままポイッと、二人は部屋の外に投げ出され、ヒラリと紙が投げ渡される。
綱手「ったくいい大人が何をやってんだ。いい加減にしろ」
ぴくぴくと青筋を立てた綱手から「明日までに提出」と言い捨てられ、扉を閉められる。
二人は投げられた紙に視線を落とすと、そこには〈始末書〉と書かれていた。
シカク.ヒアシ「………」
この後、シカクとヒアシはバトル再開しつつ、始末書という名のただの反省文を書いたそうだ。
ちなみに、反省文の回収に来たカカシが、内容を盗み見て、腹を抱えて笑ったのは内緒の話である。
…………………………
そんな当時の苦い思い出に、シカクは遠い目をしながら日向家の方面を見つめる。
シカク(我ながら……ありゃ酷かったな)
反省文を書くなど、シカクは少年期以来だった。
まさかこの歳になって、またこんなものを書くとは……そう苦笑しながら書いていると。
隣では、まるで筆の進んでいないヒアシがいた。
シカク「おい。そんなんじゃいつまで経っても終わらねぇぞ」
ヒアシ「……始末書、とはどうやって書くのだ」
シカク「………本気で言ってんのか?」
ヒアシ「冗談に見えるか?」