第66章 別々の道
シカク「シカマルが相手なら、 周りが多少つついたところで、どうにでもなる」
むしろ周りに何か言われたぐらいで、なくなるぐらいの気持ちなら、最初からやめた方がいい。その程度なら好きな女だと語る資格もないと、シカクは告げる。
シカク「だが、キリは……」
キリを慮って小さく息をついたシカクは、少し切ない表情に変わる。
シカク「あいつは、背負ってるもんがでかすぎる。……それで身動きが、取れなくなることもあるだろう」
そう言ってから「くそっ、キリの話なら早くそう言え」と、恨めしそうな視線を送るシカクに、カカシは恐る恐る質問を投げかけた。
カカシ「すみません。でも……その、なぜ急に? 何かあったんですか?」
あの相談の日から、少し日が経っている。
シカクがその事実に気付き、怒鳴り込んでくるような出来事があったということだろう。
シカク「キリが、話があるっつってな。……家を出たいんだと」
カカシ「!」
シカク「ちなみに。もう家を出るこたぁ決まって、それも今日の夜だ」
カカシ「なっ!?」
カカシ(えっ、嘘でしょ)
まさか、自分の発言が発端でそんな事になるなんてと、体が嫌な汗をかき始めた。
思いのほか、事態は悪化しているのかもしれない。
それと同時に、カカシはシカクの話に少し違和感を覚える。
カカシ「シカクさんは……キリからその話を受けて、家を出るのを認めたんですか?」
家を出るということは、火影が用意しているアパートにキリ一人で戻るということだろうと、確認を取れば、シカクはそれを肯定する。
シカク「ああ」
カカシ(初めの頃は、ほぼ強制的にキリを家に住まわせたって言ってた割に、随分あっさりと……)
それがなんだとでもいうようなシカクに、頭をひねっていれば、それに気付いたシカクは不機嫌そうに言葉を落とした。
シカク「あの頃とは、事情も違うだろうが」